高齢者のうつ病の特徴とは

うつ病とは感情の病気であり、高齢期に特徴的に出現する病気ではありません。
しかし、高齢者の精神的な健康を阻害する疾患として、認知症に次いで問題となることも多いです。

うつ病の原因は、生物学的要因、心理的要因、社会的要因が主な引き金になります。
高齢者の場合、高齢期によくみられる喪失体験が代表的な原因です。
喪失体験とは、定年退職による社会生活からの引退、配偶者や友人の死など大切な人との別れが挙げられます。

具体的な症状としては、感情の障害、精神運動性障害、うつ病性身体症候群などがあります。
感情の障害では、抑うつ気分、過度な悲哀感、喜びや興味の喪失、罪責感、不安、焦燥感があり、常に落ち込みやすくなるのが特徴です。

精神運動性障害では、意欲と行動の抑制による意欲低下、動作緩慢が現れます。
また思考抑制も起きやすく、思考過程が停滞し、異様に大人しくなったり判断力が低下しやすくなります。
午前中は特に状態が思わしくありませんが、夕方になるにつれ軽快するという日内変動がみられるのが特徴です。

うつ病性身体症候群では、睡眠障害が現れ、睡眠の途中で目が覚める中途覚醒がみられます。
また寝つきが悪い入眠困難、朝早く起きてしまう早朝覚醒が出現することもあります。
こうした症状によって引きこもりがちになったり、自ら命を絶ってしまうケースも少なくありません。
介護では些細な変化を見逃さず、しっかりとケアをしていくことが重要になります。